あれから一週間が過ぎた。
今日でやっと応援歌練習が終わる。
毎日コージ達と歌いながら登校した甲斐があって
応援歌はほとんど覚えていたため
後半はほとんど怒られることもなかった。
「よく頑張ったな!今日で応援歌練習を終わる!」
ずっと睨みを利かせていた応援団長が眉間に皺を寄せずに言う。
「ちなみに5月に体育祭があるが、一週間一緒に応援歌練習したこのメンバーは同じ赤組だ!次は体育祭に向けて共に頑張ろう!!」
怖かった先輩達が一斉に笑顔を見せる。
なんとも不思議な感覚だが、応援歌練習が終わった事と重なりとても安心した。
それと同時に体育祭が楽しみになった。
体育祭は学年ごとに1クラスランダムに選ばれ、3クラスで1チームで
赤組はおれたちのクラス1年4組、2年2組、そしてこの応援団達のクラス3年5組から構成されるらしい。
次の日、赤組の決起集会なるものがあった。
3クラス初顔合わせだ。
「あいさつ、応援団長お願いします」
「応援団長の袴田徹です!よろしくお願いします!
1年生は昨日まで応援歌練習よく頑張ってくれた。
2年生は1年生に負けないように、油断しているようならビシビシいくぞ。
力を合わせてまずは応援賞を取ろう!
応援合戦で一番声が出てた組がもらう賞だ!
そして演技賞、パネル賞、全部取って優勝だ!よろしく!」
それぞれの部門のリーダーがあいさつや説明をする。
「演技係長の長谷川直子です。
組対抗演技の振り付けと演技指導を担当させてもらいます。よろしくお願いします。
今日の5時間目から早速振り付けの練習がありますので、体育館に集まってください。
みんなで一致団結して演技賞絶対とりましょうね☆」
あの人だ.....!
バスケ部のあの綺麗な人だ。
長谷川直子という名前らしい。
「おい、コージあの人美人じゃない?バスケ部の先輩なんだ」
「おお、女優さんみたいだな!笑った時の歯茎出る感じが戸田恵梨香に似てる」
「ああ!言われてみれば!」
「めっちゃ大人っぽいしな、ありゃモテるぜ」
「絶対モテるよなぁ...」
「でもおれは生徒会長のほうが好みかな!おっとりした感じが!」
「え〜、コージはああゆう感じが好きなのね」
「山本、前麹」
後ろを振り返ると伊藤先生が睨んでいた。
「やべっ」
「すいませ〜ん」
楽しい話はまた後にしよう。
これからの赤組の活動に、いや長谷川さんと会える事に
期待を膨らませながら話を聞いていたらあっという間に決起集会が終わった。
「お前、同じバスケ部だし赤組なんだから長谷川さんに話しかけてみろよ!」
教室に戻る廊下でニヤニヤとコージが言う。
「いや、先輩こえーじゃん」
「なにビビってんだよ!」
「いやビビるだろ。応援歌練習以来、先輩=怖いって植えつけられたんだから」
「まあ確かに...でもサッカー部の先輩はみんな優しいけどな〜」
「そうだコージ、前借りたCD返すよ。」
「おお!どうだった?モンゴル800の名盤、メッサージ!」
「めっちゃよかったよ!今度カラオケで歌おうぜ。」
CDを返そうとカバンの中を探るが見当たらない。
「あれ?持ってきたつもりだったけど忘れたみたい」
「なーんだよー。まあ、いつでもいいぜ。おれはもう全曲覚えるほど聞いたし」
「じゃあくれよ」
「だめ」
「他にもなんかオススメのCDないの?」
「沢山あるよ!今度うちに来た時また貸してやるよ!」
キーンコーンカーンコーン。
ガラガラ〜。
「はーい席についてー!」
次の数学の授業中は黒板を見ながらも
頭の中はモンゴル800の曲と長谷川さんの事でいっぱいだった。
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