青の空 2話「体育館」





「おいノブ、野球部の見学いくぞ」





ほとんどが自己紹介ばかりの各教科の授業が終わり、
廊下に出たところで話しかける。





一緒に登下校する5人組のうちの一人、隣町大和(となりまち やまと)だ。








ヤマトとは小学校時代、同じ少年野球チームに所属していた。




おれはセカンド、ヤマトはショート、二遊間を守った仲だ。



ヤマトは打撃と肩の強さに定評があり大会では





「あのショート下がりすぎじゃね...?」



「ほぼレフトじゃん...」



「ヒット性の当たりもショートゴロになっちゃうんだ...」




と他校の選手がよくつぶやいていた。





地区大会で一度優勝したのは良い思い出だ。







「おーい、いくだろ?」




ヤマトがイカつい顔で近づいてくる。






「ごめん、おれやっぱバスケ部見にいく」





「え?なんでよ?」





「やっぱりボウズはやだなあと思って」





「はあ〜?そんな理由?」





「かたじけない...」





「あーあ、落ちたもんだなお前も」




「まあ筋トレ好きじゃないしね、おれ」






「いや、バスケ部でも筋トレくらいあるだろ?まあいいや、じゃあ終わったら校門のとこで待ってるからよ」





「おっけい、じゃまたあとで」










ヤマトと別れた後、小学校のバスケチームで一緒だった石澤宏(いしざわ ひろし)を探しに他のクラスをまわる。







2、3クラス探したところでやけに賑やかなクラスがあった。




中で友達と騒いでる石澤宏、通称ザワを見つける。





こいつもうこんなに友達いるの?話しかけずらいな...などと思っていたら




「あ!ノブじゃん!」



とあっちから声をかけられる。



「おっす」




「ノブもバスケ部見にいくよな?」





「うん、一緒に行こうよ」




「おっけー!ちょっと待ってな!」






小学校は別でバスケチームに入ってザワと出会った時
元気で素早い動きをするあたりがコージと似ているなと思った。






そんな事を思い出しながらザワと体育館に向かっていたら
コージが廊下を走ってきた。





「前麹くん廊下は走らない!」




「あっさーせん!」




「よおコージ」




「おお、ノブちょうどよかった、サッカー部の見学に行きたいんだが、どこだと思う?大抵サッカーっていったら校庭だよな?」





「え?サッカー部は第二運動場ってさっき先生言ってただろ?」




「あ!そうだった!サンキュ!またあとで!」



コージはまた走りだす。



「終わったら校門な!」



「うい!」







「なんかあいつおれとキャラ被るな」



走っていくコージを見ながらザワがつぶやく。




「うん、なんか君ら近いものがあると前から思ってたんだ」




「仲良くなれそうだ」




「なれそうだな」







体育館に集まったバスケ部志望の1年生は
ほぼ小学校のチームのメンバーだった。




「おお、ザワ!ノブ!」




「なんか代わり映えしないな」







みんなと先輩たちの練習を見学する。





先輩たちの動きを観察しつつ、









奥のコートで練習している女子バスケ部が目に入る。





気になってしまうのは男の性か。







「おい、あの先輩美人だぞ」



「どれどれ」




ザワの目線の向こうに目を向けると






先頭で練習メニューをこなす一人の女子が目に入る。



華奢な体に、長い髪を結び、白い肌に綺麗な顔立ち。





ザワが誰の事を言っているのかすぐわかった。







「おい、本当だな...」









もともとほぼ決まっていたけど
この時バスケ部に入る事が確定した。






「これから...楽しみだな」






「ん?なんか言った?」





「あ、いや...早くおれらもボール触りたいな!」





「そうだな!」




これからの学校生活が一気に楽しみになった。

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