青の空 8話 「危機一髪」




「え!やばい!開かない!」






「くそ!閉じ込められた!?」







「このまま死ぬのか...?」













時は少し遡り、




放課後、公園で遊んでいた。







「ちょっと寒いからあの中入ろうぜ」




「ははっいいな!」





その場のノリで掃除用具などが入っている小さな小屋に入った。






「は〜あったかい」






「暗くてなにも見えないんだけど」








「おい、3人入ると狭いな〜」







「おい、押すなよ」








ガチャン。







何かの拍子に鍵が閉まった。







「え、まさか...」






「やばい鍵が閉まった!!閉じ込められた!!」







コージが甲高い声で叫ぶ。







「は?バカ言うなよ!」






扉を開けようとする。




ガンガン!





「本当だ...開かない」







これはまずい事になった。






「なんで閉まったんだよ!?公園には俺たちしかいなかったはずだろ!?」






「お前が暴れるからなんかの拍子に閉まっちゃったんだよ!」





「そんな事言っても!」









「二人とも落ち着け!」








焦りからか言い争うおれとコージを制したのは榎本健二(エノモトケンジ)。


通称エノケン、いつもの5人組の一人、コージと同じサッカー部だ。






「鍵っていうのは大体、内側から開けれるようになっているだろ。この倉庫も例外じゃなければ必ず内側から開けれるはずだ!」






5人の中では一番勉強ができるエノケンがそう言う。





「え、エノケン...!」






いつもは一緒にふざけあっているエノケン。

いやに頼もしく見えた。







「ちょっと貸してみろ」





エノケンが扉を物色する。






「この辺か...?」






暗闇の中、エノケンの作業を見守った。







もし開かなかったら...


最悪の事態が頭をよぎる。







俺たち二人はエノケンを信じるしか出来なかった。







きっと出れる。





おれたちの未来はまだまだ続いていくんだ。









そう信じて。











数分後。






ガチャン。







「開いたっ!!」








「おーーーーーー!!!!」










扉が開いた瞬間、オレンジ色が飛び込んでくる。







太陽が山に半分隠れていた。







「夕焼けだ...」







「綺麗だな...」







「おれたち...生きてるんだな」






「ああ...シャバに出られたんだ...おれたちはもう、自由だ!」





「もう、誰にも縛られる事はないんだ!」








「大げさだなお前ら...」






そう言ってエノケンは笑った。






「エノケン、ありがとうな」





「たぶんコージとおれ二人だったら死んでたよ」






「生まれて初めてエノケンの事かっこいいって思ったよ」






「ああ、初めてだな。寝てるとき目が開いてるだけのやつかと思ってたよ」






「お前ら...もう一回あの中入るか?」






「すいませんでした」




「調子に乗りました」









夕焼けによって映し出された3つの影が仲良く伸びていた。






コメント