青の空 12話「体育祭 後編」







「続きまして、一年生男子クラス対抗徒競走です」






そういえばまだ自分の対戦相手を確認していなかった。






「うわっ...」





「どうしたノブ」





「おいコージ、おれ徒競走エノケンとだわ...」





「ホンマか!」






「あいつたしか昔から足速いよね?最近どうなのサッカー部では?」






「あ〜早さを増してるような気もするね」






「そっか...」






徒競走の列に並ぶ足取りが重くなった。








「それでは位置について、よーい!」






っパン!!






徒競走第一走者が走りだした。





各組の応援が一斉に始まる。






パンパン!





「1位 黄組 隣町くん、2位 青組 前堂くん、3位 白組 荒谷くんでした」








続く二組目。





「1位 白組 山内くん、2位 紫組 田中館くん、3位 緑組 中村くんでした 」












「おいおい、赤組やばいんじゃない?」







「ふう、まあ見てろよ赤組初の1位とってやるよ!」






「やってやれ」





「お前もエノケンに勝てよ!」






「まあ、頑張ってみる」






さて、次はコージ対ザワか。他に早そうなやつはいなさそうだ。








「ノコノコとやられにきたか、コージ」






「ふん、その言葉そっくりそのまま返してやるぜ、ザワよ」









「位置について、よーい!」






ッパン!!








あ〜






あ〜ザワはえ〜100円ゲット。










「1位 白組 石澤くん、2位 赤組 前麹くん、3位 黄組 太田くんでした」









でもやっと3位以内にランクインか。






「はあ、はあ、ザワ、やっぱり早いな...」






「はあ、はあ、いや、お前も早かった。危ない所だった...」






「いい戦いだった」






「ああ!」






二人はがっちりと握手した。











「なんか友情が生まれてる....」








おっと次は自分の番か。






「エノケン、手加減してよー」





「おお、ノブヒロ一緒か。負けねえよ?」







「位置につい...以下省略。










「1位 紫組 榎本くん、2位 赤組 山本くん、3位 青組 平くんでした」









やっぱりだめか....






「はあ、悪いな!ノブヒロ」





「はあ、はあ、早いなエノケン...」









徒競走が終わり陣地に戻る。











「だめだったな...」






「ああ、完敗だよ」







「もう、だめかもな....」









「なに肩落としてんの!二人とも2位じゃない!よく頑張ったよ!」






「長谷川さん....!」





「まだまだ始まったばかりだよ!ほら次!2年生の応援だよ!」






「は、はい!!」









「コージ、おれ達まだいけるかもな」





「ああ、まだおれ達はこれからだ」











「続いて3年生女子クラス対抗リレーです」








「おいノブ!つぎ長谷川さん走るぞ!」






「なんだって!フレーフレー赤組!!」






「おお一年いい声だな!」




「あざす!」










「えっ....」







「はやっ.....」









「1位 赤組 長谷川さん、2位 白組 高橋さん、3位 青組 相原さんでした」







長谷川さんは2位に差をつけてのぶっちぎりの1位だった。













「どう?二人とも!1位とったよ!」












「参りました」






「いやホントに」










「続いて一年生クラス対抗綱引きです」








「よしそろそろかっこいいとこ見せたるか!」





「よっしゃ!」







「なんだ、あいつらのクラスか」




「ああ、余裕だな」





黄色いハチマキの見覚えのある二人組。





「げっあいつらかよ...」






対戦相手はヤマトとコニシの野球部の腕っ節コンビ率いる黄組だ。




「おい、舐めんなよ!」




「ひょろひょろコンビの赤組なんて相手にならんな」









「くそ〜ノブ、絶対勝つぞ!」







「あったりまえよ!負けっぱなしで終われるかってんだ!」










「よーい!」






ッパン!!







綱が引っ張られミシミシと音を立てる。










わずか5秒ほどだった。





パンパン!







「黄組の勝ちです!」






ワーーー!!








「...」





「そんな...バカな...」









おれたちは真っ白に燃え尽きた。





















全種目が終わり、閉会式で発表された赤組の順位は4位だった。









赤組団最後の集会。






「4位という残念な結果ではあったが、応援賞をとることが出来たのはみんなのおかげだ!何よりおれたちについてきてありがとう!以上!」





「悔しい結果になってしまったけど、このメンバーで一丸となって頑張ることが出来て...ぐすん...本当に良かったです...みんなありがとう!」







泣きながら話す長谷川さんを見て胸が熱くなった。











「ノブ、おれたち頑張ったよな」






「ああ...やれることはやったさ」






なんとか3年生最後の体育祭、優勝させてあげたかった。

自分の無力さを少し恨んだ。










「帰るか...」






「ああ、帰ろう。帰ってゲームやろう」














夕焼けが泥だらけの二人を照らした。


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