今日は体育祭。
外は雲一つない青空。
不思議な物でこういう日は大体晴れるものだ。
ホームルームが終わって開会式が行われる校庭へ向かう。
「おい、お前ら今日は負けねーぞ!」
もうすでに白のハチマキをつけたやる気満々のザワが言う。
バスケ部随一の俊足だ。きょうのリレーや徒競走でも活躍することだろう。
ザワは白組、おれとコージは赤組だ。
「おい、ザワ!どっちがこの富中の本物の猿キャラか決めようじゃないか」
コージがメンチを切る。
「望むところだ」
二人の目線がぶつかり合って火花が散る。
コージとザワは徒競走で当たるらしい。
これは見ものだ。
「おれはザワに100円!」
同じバスケ部でザワのスピードをよく知っている。
「おい!おまえ同じ赤組だろうが!おれにかけろや!」
「あっそうか」
「そうかじゃねーよ!」
そんなことよりも遠くに見えるあの美しい女子は長谷川さんだ。
この体育祭までの取り組みでおれたちは長谷川さんと仲良く話せるまでになっていた。
「長谷川さーん!」
「ああ、ノブとコージじゃない!今日は頑張ろうね!」
「はい!絶対優勝しましょう!」
長谷川さんの笑顔が輝いた。
なんて美しいんだ。
「よしコージ、いいか。体育祭なんてどうでもいい。長谷川さんの笑顔のために、おれたちは勝つんだ。いくぞ!」
「よっしゃ!とりあえずおれはザワに勝つ!」
開会式が始まる。
「宣誓!我々選手一同は!日頃の練習の成果を十分に発揮し.....」
選手代表、イケメン3年生の選手宣誓。
「みなさんおはようございます。今日は待ちに待った体育祭です。この日のために一生懸命練習してきたと思いますので、最後までみんなで力を合わせて全力で頑張ってください。ご来賓の皆様におかれましては...」
PTA会長のはげた頭が光って眩しい。
まるで太陽が二つあるようだ。
退屈な開会式が終わり、最初は応援合戦だ。
一番声が出てた組に得点が入る。
「よーし!腹から声出せよ!絶対勝つぞ!」
赤組の団長、袴田徹が檄を飛ばす。
「それでは始めます。よーい....」
ッパーン!!
赤、白、青、緑、黄、紫の全6組が一斉に応援を始める。
ワーーーーーー!!!!!
絶対近所迷惑だと思う。
パンパン!
「そこまで!」
「ただいまの応援合戦、1位は......赤組です!」
「よっしゃーーー!!」
赤組陣地がどっと盛り上がる。
幸先がいい。これはいけるぞ。
後編へ続く
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